3: | パラグアイ (10月17日) |
”なぜ,パラグアイ ?” ブエノスアイレスからパラグアイの首都アスンシオンは,ひと飛び2時間弱のフライトだ。 隣の席には,真っ白なパンタロンの美しいセニョリータ。 Usazito : ” なぜパラグアイへ?” Señorita : ” 就職試験を受けに行くとこなの,ブエノスでは今, なかなか仕事に就けなくて。” (彼女は,看護婦志望らしい) ” 貴方はなぜ?” Usazito : ” イパカライ湖をひと目,眺めたくて。” Señorita: ” Que bie〜n ! ? ” Usazito : ” Ciao ! señorita ! ,試験がんばってね!” パラグアイのフォルクローレに,”Recuerdos de Ypacarai:イパカライの想い出" という,大変美しい名曲がある。私も昔からこの歌が好きで,CDやライブ,色々な所で 何回も聴いていた。10年前に出張で行ったペルーのホテルのレストランで,出演していた アルパ弾きにリクエストしたら,すごく喜んで誇らしげにきれいに,演奏してくれたことを, 覚えている。 (パラグアイの人が外国でこの歌を聞くと,涙を流して合唱する?と,後で聞いたくらい。) そんなわけで,この湖をひと目,眺めるために,アスンシオンにやって来た。 街の中心部からタクシーで40分ほどの所にこの湖はある |
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<イパカライ湖> |
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【 イパカライ湖 】 |
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イメージしていたとおりの,静かで穏やかな大きな湖の風景があった。 岸辺には濃い緑の合間に僅かに別荘風の家が点在,周囲にも遠く低い山が見えるだけである。 まだ休暇のシーズンには早く,観光客はもちろん人影もほとんどない。 小鳥のさえずりだけが聞こえる,広い空と湖水のひろがり・・・。 写真の小船で30分ほど,湖上をのんびりと遊覧した。 現地,グァラニー語で”洗礼の水”を意味すると教えられた,”Ypacarai”の湖, 昔は本当にあの歌に唄われたように青く透きとおっていたという。 だいぶ汚れたといってたが,さほどではなくイメージを壊すような事はない。 何もないただ穏やかな湖の景色だったが, 私の”Recuerdos de Ypacarai”に大いに満足して帰路に着く。 暑い日差し,明るい緑の中の真っ赤な土の道が続く田舎道。途中の村の軒先にその赤い土で 焼いたらしい,壷やかめなどが並べられているところがあった。 土産物屋なのかもしれないが,人影は全く見えず。 ちょっとした,”いなか道・美術館”のようなチャーミングな一角,写真を撮り忘れたのが残念。 ( 注: Ypacarai の,発音について ) 原語のグァラニー語では,イパカライ ではなく ウパカライ と発音するのが正しい。 「Y→ウ」が,「水」を意味します。 日本では,誤った発音:イパカライ のまま広まってしまい,筆者もその様に使って きましたが,正しい原題は ” レクエルドス・デ・ウパカライ ” です。 * 検索語の関係から,本文ではイパカライのままにしてあります。 アルパとパラグアイを愛してやまない著名なマエストラの方から,ご教示戴きました。 ありがとうございました。 (2006-6-20) |
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<アスンシオンの街> | |||
【 空から見下ろした市街 】 |
【 英雄霊廟 】 | ||
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市街はかなり広く緑の中に散在していて,首都の中心街:セントロでさえブエノスアイレスの大都会から来た目には,何とものどかな街である。 ”英雄霊廟”の建つ広場を中心に,パラグアイ川沿いに国会議事堂などの政府機関の立派な建物が散在。広場には青紫の小さな花びらがが桜のように咲いているきれいな大きな樹が何本かある。初めて見る,”ハカランダ”だろうか。 目抜き通りのパルマ通りに,いろいろな店が並ぶが,こじんまりしたムードである。 ここは初夏10月の今でさえ,30℃以上の気温,いきなり夏の国に来たようだ。 暑さと,時差ボケもあり私もラテンの風習シエスタ:昼寝をきめこむ。 ここではいまだに,シエスタで昼間閉めてる店を,いくつか見かけた。 ここのホテルのパソコン,キーボードの文字がなんと2/3位消えて見えない! 文字どうりの”ブラインドタッチ”で,あせる。 おまけに,日本語表示は出来ない為,Yahoo-Japonのメール画面に入っても,ボタン類が判別できず,メール送信に苦労する。こんな事もあろうかと日本語でのメール画面をコピーした紙を持って きたのは,正解だった。 <イグアスへの道> :10月19日 今日は,バスでここアスンシオンを出発,陸路イグアスの滝に向かう。 乗ったバスは,ブラジル・サンパウロ行きの国際長距離バスだった。 朝,出発直後もの凄い雨が降り出した。たちまち道は川のようになり,小型車はあちこちで立往生。 車高の高いバスは,徐行停車を繰り返しながらも進む。 30分程で雨は上がり,青空がのぞく。うーん,これがアマゾンのスコールか。 バスの中では,ブラジルに出稼ぎに行くというグループが話しかけてくる。 その中の一人の女性が私に尋ねてきた。「ジューキ,マキナは高いか?」 「えっ,重機?機械?・・・ショベルカー,ブルドーザーのことか?」・・・,”JUKIミシン”だった! 私のあやしいスペイン語を苦使し,メモ帳に絵や数字を書いたりしながらも, 何とか色々な話が判るのが楽しい。 ほとんど起伏のない,赤い土と緑の中をバスは進む。畑や農場,牧場が多いこの辺りは 日本からの移住者も多く,苦労して開拓し農業などで立派に活躍しているそうだ。 約5時間で国境の町,私の降りる シウダー・デル・エステに着いた。 バスを降りる間際,先程の女性が自分のバッグをかき回して何か取り出し, 「何もないから,これをもって行って」と,くれたのは小さな冊子。 表紙にキリストと子供達が描かれ<El camino a Dios:神様への道>とある。 彼女が聖書代わりに自分で読んでいたらしい,少し汚れた小さな冊子。 お守りとして,記念として持っていけという事だろう。たった数時間の交流なのに ”あぁ,何と心優しい,信心深いラテンの人よ ! ありがとう! あなた達も遠いサンパウロへ,Vaya con Dios:神のご加護と共に!”・・・と, 無信心な仏教徒のUsazito も,子供のように嬉しかった。 このお守りで,きっと私の旅もうまく行くだろう! ”シウダー・デル・エステ:東の街”から,タクシーに乗り換えブラジル領に入り,さらに国境を越え アルゼンチンに再び入って,目的地イグアスの滝まで一気に向かう。3カ国計4回の出入国手続, 念のため,ブラジル入国ビザも取ってきてある。 ブラジル,アルゼンチン国境では,滝見物の日帰り客は,ビザ,パスポート検査がないが, 今回はしっかりスタンプをもらわないと不法入出国となり,面倒な事になる。 ここで乗ったTAXIの運転手は,若い原住民(?),公用語であるはずのスペイン語をほとんど話 せない。(パラグアイの地元の人達の間では,多くの人が誇り高くグアラニー語を日常使っている らしい,) 心配していたように,最後のアルゼンチン入国ゲートで止まらず,そのまま通過。 「Pare !,Pare !(西語), Stop !,Stop !(英語),止まれー!(ニホンゴ)」と最後には,日本語迄 とびだしてやっと止め,100m程をバックでゲートに戻る。 パスポートにスタンプをもらい,やっと正式入国だ。やれやれ,これで出国もできる。 国立公園のジャングルの中をしばらく走り,イグアスの滝に近くにただ一軒あるホテルに到着した。 ”シェラトン・インタナショナル・イグアス”。 レセプションの後の大きなガラス窓から,ジャングルの中,大きな水煙を上げる巨大な滝が見える。 イグアスだ! 明日からの滝見物に期待がふくらむ。 |