Mi viaje a Sudamerica             
                 

10:  バルパライソ   <チリ> (11月4日)

ビーニャの隣にある,大きな古い港町バルパライソ
スペインのサンチャゴ進出の頃からの海の玄関として,交易,漁業,軍事の重要な港都だ。
”天国のような・・”と名付けられたこの街,海岸沿いの僅かな平地をなだらかな丘が広く
取り囲み,丘の斜面と上には家々がびっしりと並び独特の景観を造っている。
港町,横浜育ちのUsazito としては歩いてみたかった町だ。


<バルパライソ:Valparaisoへ>

ビーニャの街からバルパライソへは,ローカル電車で行こう。
街の隅にある工事現場の囲いの中に,プラットホームが一本あった。ホームにある小さな小屋で
今時珍しい硬い紙の切符を買う。やがて古い列車がやってきた。
 海沿いをガタゴト走り約9km,20分程で終点,バルパライソの”港駅”に着く。
流石に,歴史のありそうな建物の駅舎だ。
駅舎の前は,港の中心Plaza Sotomayor:ソトマヨール広場だ。

【 バルパライソの,” 港駅 ”に到着 】

【 駅前,ソトマヨール広場: 海軍本部と英雄像 】
【 主埠頭のプラト埠頭(右)と船溜 】
古い港らしい,いい感じだ。かって横浜港もこうだった。


 【 船着場から左手の丘。Ascensorの軌道が見える 】

【 海上から見た,バルパライソの市街地 】

港の中心の船着場から,ランチにのって港内を
一周してみた。客は私だけの貸切でUS$20。
海上から見ると港と丘の街バルパライソの全容が
よくわかる。

岸壁の下の海面には,アシカが遊んでいる。

この港は,チリ海軍の基地でもあり何隻かの軍艦
のそばまで行ったが,”写真を撮ってはいけない”
とランチの船長に強く言われた。


【 チリの帆船,エスメラルダ号 】
ここには,チリの練習帆船 ”エスメラルダ”がいた。日本にも何度か来た事がある優美な帆船だ。
母港の一番目立つ埠頭の先端で,静かにでも誇らしげにその姿を休めている。



 【 港近くの旧市街:@ 】


【 港近くの旧市街:A 】

 港近くの旧市街の町並みは,
  建物ごとに外壁が様々に着色された大きな
  古い建物が立ち並び,独特の雰囲気をかもし
  出している。
  今は何に使われているのかよく判らないが,
  港の交易が盛んな頃には,様々な会社やホテ
  ル,酒場,店などとして華やかな街並みだった
  のだろう。
  エキゾチックで,怪しそうな,街並みが続く。

 ← この奥で,本当に危うい目に会う事に
    なる!  (後述)

<Ascensor:昇降機> エレベーターと訳すとピンとこない。実態はケーブルカーである。

街のほとんどが丘の斜面とその上に広がるここバルパライソの庶民の足,風物詩ともなっている。
市内には15本もあり,ほとんど100年以上前に作られた古いものだという。
 船着場から見えたものは,”修理中,いつ動くかわからない”!というので,すこし回り込んだ所に
あった別のアセンソールにのって,丘の上に行ってみる。
 下の乗り場に行って見ると誰もいない。”Hola !”と声を出してみたら物陰からおばちゃんが出てきた。
日本円にして30円程で乗せてくれ,すぐ発車させてくれた。
”乗り物”は,下の写真の通り。形はまるで木で出来た古い貨車そのものである。
中もご覧の通りの殺風景だが,それでも外観は黄色と赤に塗り上げられているのが,ケナゲである。
ガタゴトときしみながらも,かなりの急傾斜を無事に昇りきった!


【 アセンソール 内部 】

 安全装置は? などと考えてはいけない。
祈るのだ!

アセンソールをおりて外に出てみると,古い住宅街の石畳の坂道の途中だった。
丘の起伏や谷間の坂道沿いを沢山の住宅が連なる風景は,Usazitoのふるさと横浜の中心部
丘陵地帯の風景を思い浮かばせる。谷間をとおして,下の方に港や旧市街の広がりが見渡せる。
 旧市街近くだけあり,この辺りは古いが立派な住宅と粗末な家々が混在し街としては閑散とした
雰囲気だ。 
谷間の坂道を伝い下の街の方に降りていくと,先程歩いた旧市街の近くに出た。


< 危うし Usazito !! >    ”ケチャップ・ドロボー” に襲われる! 
    
    ”ケチャップ・ドロボー”とは?:
     ケチャップを盗んでダァーっと逃げ出すわけ,ではない。
         
     街なかを歩いている人の背中に,ケチャップやソースの様な汚れをそっとつけ,
     「背中が汚れていますよ」と親切そうに教えてくれる。
     言われた人は何故?と思いながらも焦って,汚れを落とそうとする。
     教えてくれた人も,通りかかった数人も(実は仲間),親切にティッシュ等出して
     一緒に拭いてくれようとする。
     何も知らない被害者が思わず「有難う」等と感謝!しながら,手荷物を置いたり,
     上着を脱いだりしている隙に,まんまと貴重品をスラれるのである。

     街頭スリの手口としては,今や世界中で古典的,代表的なもののひとつだ。
     ( もっとすごいのに,いきなり”首絞め強盗”というのも,かなりある。 )

           
丘をくだり,先程見た旧市街の通りを歩いてくると,(上の写真:Aの奥の方),
横道をとおして50m程先にもっと賑やかそうな通りが見えた。
”あっちが面白そう”と,何も思わず横道に入った。 まっすぐ見通せるが人通りのない,
5階建てほどの古い高い建物に挟まれた,幅3m程の石畳の路地だ。

中程まで進んだ時,パラパラと何かが背中と頭にかかったような気がした。
頭に手をやってみると,マヨネーズの様な,柔らかいオムレツの様なものが付いている!
”何だこれは?”と後を振り返って見ると,中年の男が一人,2m位の近くにいる!
上を指差して何か言っている!(”建物の上から”というようなそぶり)。
上からのわけはない!

”出たな!ケチャップ・ドロボー!” ,瞬間的にそう思った。
一瞬,にらみ合いとなる。
男は定石通り(?),親切そうにティッシュを渡そうと手を差し出してくる。
それにしても,前後この男一人しかいない。 ”おかしい,どう出てくるのか?”
男を睨みつけたまま,ティッシュを受取ってみる。
 なぜかすぐ横に,建物のへこみの様な,入り口のようなものがある!
男はつっとそこに近づき,なんと又ティッシュを取り出し,差し出してくるではないか!

”判った,ここだ! ここに仲間が居るに違いない! これ以上はヤバイ事になる!” 
男を睨みつけたまま,すこしずつ後ずさりでそこから離れる。
案の定,男はそこからは近づいて来ず,まだティッシュを差し出しながら何か言っている。
 獲物を逃がした事を悟った狼男を残し,
Usazito(兎爺人)は,文字どうり脱兎のごとく(ハァハァと)駆け出し,賑やかな通りに逃げた!
男も反対側の通りへ離れ,こちらの方をまだ伺っていた。

うーむ,本当に危ないところだった!
あの建物の入り口に誘い込まれていたら・・と考えると,ゾッとする。
   人通りのある所での芸術的スリのワザならまだしも,
   この場所,この状況では,あと一歩でナイフ,ピストルあるいはパンチの嵐,
   どれが出てもおかしくない場面だった!

安全な所まで来て,ジャンパーを脱いで見るとマヨネーズの様な物が点々と付いていた。
「野郎,ジャンパーを汚しやがって!」と怒りが湧いてくるが,どうしようもない。
まあこれだけで済んでよかったのだ,と自分を慰める。

まだ陽も高く,セントロや丘の上のネルーダの邸宅を見学したかったのだが,
ここは頭を冷やしてバルパライソを撤退しよう。
港町バルパライソの旧市街の,怪しい雰囲気と実際は身を持って体験できたのだから。

またローカル列車に揺られて,ビーニャのホテルに帰ったのだった。 ホッ・・・


  サンチアゴに入って以来,一人旅1ヶ月の旅程の2/3以上を過ぎて,旅に慣れたのと
  疲れか,流石に緊張感が少し緩んだのを自分でも感じる。好奇心だけではあぶない。
  ゆったりした緊張感を持続する事,これが長旅にも大切なことを改めて思う。
  




     さあ,この旅もいよいよ終盤,ペルーに入る。リマ,クスコ,マチュピチュだ!
                  気を引き締めて,旅の最後のハイライトを楽しもう!